野菜づくり名人 永井さんの畑
- 2020.11.17
新潟県十日町市の「松代(まつだい)」エリアで「永井農園」を営む「永井良子」さんは、30年以上前より一代で農園を築いてきた里山の野菜作り名人です。
松之山の北部に隣接する松代は、周囲を山々に囲まれた丘陵地帯。土地の持つ特性である寒暖の差の大きさは、稲作だけでなく野菜作りにも適しているそうです。
この日も作物たちに降りた霜が日に溶けて輝いていました。
畑に案内してくれる永井さん。お寺の所有する荒れた土地を30年くらい前に借りて畑を開墾。生えていた木を伐採し、新たに水路を作り、大地を耕しながらのはじまりだったそうです。
畑で作られる野菜は70~80種類ほど。取材時にあった野菜は、カリフラワー、いちご、アスパラ菜、ねぎ、セロリ、キャベツ、ルッコラなどがありました。
畑で使う水は敷地のそばに湧く清水を使用。すぐそばには川も流れていますが川水は汲み上げず、この新鮮な湧き水のみで作物を育てるそうです。
無農薬で野菜を作る畑には籾殻(畑の上の黒いものです)を燃やして土の上に置き、土の中を消毒・殺菌しているそうです。
また、夏には電気線を畑の周りに回して、動物が入ってこないようにするなどの工夫も教えていただきました。
ネギは3月に種を蒔いて夏を越す、11月に収穫の1年作。赤大根は3ヶ月での収穫。キャベツは11月に植えて冬を越し6月に収穫など、丁寧に説明していただきます。
50年間務めた左官職人を引退された後、一緒に畑を手伝われている永井さんのご主人。「ひなの宿 ちとせ」と「永井農園」の出会いは、旅館の工事の際にご主人にお世話になっていたこと、永井さんの娘さんが松之山のコープで働いている時に、実家の畑で作った野菜を勧められたことがきっかけでした。
綺麗な用水路の水ですすいで手渡されたルッコラの葉。新鮮な歯応えと瑞々しい味が口の中いっぱいに広がります。
背も高く育ったネギの様子を見て回る永井さん。
ネギの葉にもキラキラと陽光を反射する霜が見受けられます。
越後妻有地域を代表するイベント「大地の芸術祭」で様々な内外の交流が始まり、永井さんは「大地の芸術祭2018」オフィシャルツアー限定のレストラン「TSUMARI KITCHEN」の調理責任者「塩田シェフ」と知り合いになりました。長年にわたり調理師として活躍されてきた永井さんは「TSUMARI KITCHEN」でも腕を振るっていたのです。
「自分が作った野菜を料理に使ってくれると何かとしてあげたくなる」。塩田シェフにもいろいろ作ってとお願いされ、さまざまな種類の野菜作りにいっそう打ち込み続ける永井さん。土でできるものは何でも作ってみたいと思っているとのこと。
「新しい視点を取り入れるだけではなく、土地に根ざしたものを磨いて出せる宿でありたい」。と語る「ちひなの宿 ちとせ」の代表取締役「柳一成」。
この日の収穫の中からは、たくさんのお土産を持たせていただきました。
永井さんのご自宅にお邪魔してティータイム。出していただけたのは目にも鮮やかな永井農園のお漬物。浅漬けの状態がそれぞれの野菜の歯応えを尚更引き立たせてくれています。
永井農園で丹精込められて作られた野菜たちは、「ひなの宿 ちとせ」の料理を鮮やかに彩ってくれています。永井さんの野菜をはじめ、地元食材の「棚田米、にいがた和牛、妻有ポーク、山菜、きのこ」を生かした「ひなの宿 ちとせ」ならではの「里山の味わい」をぜひ召し上がってみてください。